トルコリラスワップ作戦は儲かるのか?7年間のデータで検証


最近またトルコリラスワップ作戦が流行りつつあるみたいですね。
数年前のリーマンショックで、私はトルコリラで大損を出したことは以前にも書きましたが、この数年はどうなのでしょうか。

ちょっと気になったので、トルコリラスワップ作戦が有効なのか検証してみました。
と言っても、未来のことは分からないので、過去のデータから有効だったかを検証してみます。

今日が2015年3月20日です。
もし、2008年3月21日にトルコリラを1万通貨購入して7年間持ち続けていたら、損益はどれぐらいなのか?
同じく2009年3月21日にトルコリラを1万通貨購入して6年間持ち続けていたら、損益はどれぐらいなのか?
以下同様に2014年までそれぞれの年で、計算してみました。

計算のデータですが、レートはOANDA(http://www.oanda.com/lang/ja/currency/historical-rates/)のレートを参照しました。
スワップポイントはヒロセ通商のライオンFXのデータを参照しました。
スプレッドは同じくヒロセ通商のライオンFXから「0.16銭」としました。

計算結果を発表する前に7年間の値動きについて少し説明します。
<2008年3月21日から2015年3月20日までのチャート>
trychart
2008年8月頃から急落しているのはリーマンショックです。
その後しばらくは横ばいでしたが、2010年半ばから再び下げ始めました。トルコの政策金利が低下したことが原因の一つでしょう。
米ドルやユーロなどは2012年半ばから急激に円安となっており、買建てしている人は大きく含み益が出ている状況ですが、トルコリラはそうではありません。
最近のトルコリラは45円から55円ぐらいを行ったり来たりしています。

2008年3月21日にトルコリラを1万通貨購入して7年間持ち続けていたら?

2008年3月21日のレート:79.49円
2015年3月20日のレート:46.55円
スプレッド:0.16円
値幅損益:-33.10万円
2008年3月21日から2015年3月20日までのスワップポイントの合計:19.04万円

損益合計(7年間):-14.06万円

<参考>もし100万円で運用していたら?
1.26万通貨
損益合計(7年間):-17.69万円
年利:-2.53%

リーマンショック前はスワップが大きく1万通貨で1日400円ぐらいありました。そのため、20万通貨も持っていればそれだけで生活できるという夢の通貨でありました(リーマン後は悪夢に変わりましたが笑)。
リーマン後はスワップは下がり続け、最低では1日20円ぐらいまで下がりましたが最近では45円ぐらいまで戻しています。

さて、2008年からトルコリラを持ち続けていた場合ですが、スワップ益が大きくても値幅の損がそれを大きく上回り、結果的に大損になっています。
現在のスワップのレベルだと、1年に1万通貨で2万円ぐらいなので、プラマイ0になるまであと7年ぐらいかかります。
これはレバレッジ1倍の計算ですが、実際は2倍から5倍でポジションを建てていることが多いと思います。
なので、リーマンショック前にポジションを建てた人のほとんどの人が強制決済か自分で損切りしていると思います。
個人的には5倍で運用していましたが、泣く泣く自分で決済しました…。

2009年3月21日にトルコリラを1万通貨購入して6年間持ち続けていたら?

リーマンショックは100年に一度と言われるぐらいの異常事態でした。なので、あれで損したのは運が悪かっただけで、トルコリラスワップ作戦が否定されたわけではない、と考えている人もいるかと思います。
しかし、2009年3月21日に購入しても、まだマイナスです。

2009年3月21日のレート:56.01円
2015年3月20日のレート:46.55円
スプレッド:0.16円
値幅損益:9.62万円

2009年3月21日から2015年3月20日までのスワップポイントの合計:9.50万円

損益合計(6年間):-0.12万円

<参考>もし100万円で運用していたら?
1.76万通貨
損益合計(6年間):-0.22万円
年利:-0.04%

以降同様に、それぞれの年を起点に計算した結果を表にします。
trysoneki

7年間で言うと、2008年、2009年、2010年、2013年に購入した場合がマイナス、2011年、2012年、2014年に購入した場合がプラスとなっています。
プラスと言っても、大幅なものではないですし、年利計算しても大したことありません。
この結果を見ると、トルコリラスワップ作戦が有効とは言えないと思います。
儲かるか損するかは正直運ですね。

昔に比べてスワップもかなり下がりましたし、わざわざトルコリラにこだわる必要は見いだせません。

なお、トルコリラに較べて遥かにスワップの低い米ドルの7年間のチャートがこれです。
beidoruchart
御存知の通り、最近は急激に円安になっています。
もし、2008年3月21日に1万通貨を購入していたら値幅だけで20万円ぐらい儲かっています(スワップ益は1.74万円です)。

とはいえ、未来のことはわかりません。
トルコの政策金利が急上昇してスワップポイントも激増するかもしれません。
またいずれトルコリラの時代がくる可能性はあります。

トルコリラを扱うFX業者はあまり多くありませんが、一番メジャーなのはヒロセ通商だと思います。
→ヒロセ通商のHPはこちら

トルコリラのスワップも回復傾向


一時期、地に落ちたトルコリラのスワップポイントだが、最近は回復傾向にある。

トルコリラのスワップポイント(1万通貨)
2013年5月30日→2014年12月29日
ヒロセ通商(LION FX)=20円→50円
FXCM=-1円→7円
住信SBIネット銀行(Oh!FX)=30円→50円
サクソバンクFX証券=58円→128円

特にサクソバンクFX証券のスワップは異様に高い。これならスワップ狙いのトレードも成立しそうだ。

だがしかし、以前トルコリラで大損した人間としては、やはりトルコリラは買えない。
トルコは経済的に将来性のある国だと思うが、現在は不安定で通貨は安いままである。また暴落するんじゃないかと思うと安心して長期保有はできない。

まあ、また以前みたいに400円ぐらいのスワップがつくなら考えてもいいが…。

しかし現在スワップ狙いで行くなら、豪ドルかニュージーランドドルがいい。
安定した国の通貨なので安心して持っていられるのがいい。


トルコリラのスワップポイントが終わってる件


いや、ある意味いい時代だよ、まったく。

2007年頃には1万通貨あたり400円以上のスワップポイントがついたトルコリラ。
当時はトルコリラだけでなく、多くの通貨が日本円に対して高金利通貨で、スワップポイントが高かったが、それにしてもトルコリラは群を抜いていた。

10万通貨も持っていれば、それだけで一日4000円。働かなくてもいいのだ。
多くの個人投資家がトルコリラを買い、リーマン・ショックで死んだ。私もその一人である。

それからはトルコリラとは縁を切ったのだが、あれから随分と時間も経ち、そういえばトルコリラのスワップポイントってどうなったんだろうと気になって調べてみたら、ひどいことになっていた。

トルコリラのスワップポイント(2013年5月30日)
ヒロセ通商(LION FX)=20円
FXCM=-1円
住信SBIネット銀行(Oh!FX)=30円
サクソバンクFX証券=58円

どこの会社のスワップポイントも往時の影もない。中にはマイナスのスワップポイントの会社もある。
サクソバンクFX証券は悪くない気もするが、豪ドルのスワップポイントは72円である。豪ドルの方がスプレッドも狭いし、トルコリラを選ぶ理由がない。

もう、トルコリラに夢を見るのは無理だ。

でも、それはいいことだと思う。あの頃、みな夢を見たから大金を失ったのだ。
この状況ではそんな悲劇も起こるまい。
これからFXを始める人は恵まれていると思う。スワップが低くてつまらないなどと思う必要はない。


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